このブログは休止中です

申し訳ありません。以下のサイトにアクセスしてください。CB日記 http://www.ab.auone-net.jp/~masami/ へんろ日記 http://masami2944.jimdo.com/ ピカサウェブアルバム http://picasaweb.google.co.jp/masami2944

 人間集団の規模

たとえば,シューマッハーの弟子たちはこんな例を出して説明します。 「火に包まれているビルの窓から女性が助けてくれと叫んでいる。このとき,通りかかった人間が3人ぐらいなら,人はただちに行動する。おまえは電話をしろ,おれは飛び込む,まだ間に合う…

 景気予測も愚問のひとつ

インド思想の偉いところは,世の中には「愚問」が存在する,愚問は立てるな,答えるなという点で,これは科学的探求心美化の思想とは違っています。愚問を立てれば立てるほど精神が混濁する。せっかくの頭脳が横の方へいってしまう。もっと賢い問題を考えな…

 宗教と破壊 

宗教のコアを安易に語ることは,危険をともないます。なぜなら,宗教には既存の社会常識に挑みかかり,それを根本から破壊しようとする要素があるからです。誤解されて当たり前なのです。親鸞の言葉を集めた『歎異抄』も長く禁書あつかいにされていました。 …

 蜜蜂の目的

太陽やエーテルの一つ一つの原子が,それ自体が完成した一つの球体でありながら,同時に人間の理解を超えた巨大な全体の一原子を構成しているにすぎぬように,一人一人の人間も自分自身の中に自分の目的をもっているが,同時にそれをもっているのは,人間の…

 為政者 

どんな為政者でも,嵐のない平和な時代には,ひとえに自分の努力によって治下の全人民が動いているものと思い,自分がいなければというこの意識の中に,自分の苦労と努力に対する最大の報酬を感じているものである。確かに,歴史の海が静かであるあいだは,…

 断頭台

断頭台は,事実,そこにできあがって立っているのを見ると,何か幻覚をおこさせる。断頭台を目撃しない限り,人は死刑についてある程度無関心でいられるし,その可否を言わずにすむかもしれない。ところが,断頭台を一つでも見ると,心の動揺が激しく,それ…

 正義・善 

少なくとも,絶対の「正義」とか,絶対の「善」を主張することには,「恥ずかしさ」がともなうことになります。あるいは,「正義」や「善」,「大義名分」をふりかざして,同じメンバーを排除したり,切り捨てることには,ためらいを覚えるものです。今は,…

 業縁 

先に見たように,人はさまざまな「縁」という間接的条件が働いて,それとわかる直接的な原因が作られ,それがもとで何らかの結果を引き受けるのです。問題は,自分の決断は,そのような多くの間接的条件や直接的な条件の中の一つでしかないにもかかわらず,…

 不条理 

私が丹羽(文雄)さんのことをここで紹介するのは,ひとえに,不条理に満ちた人生がどのようなものであるのか,そして,その不条理をどのようにして「納得」することができるのか,を知ってもらいたいからにほかなりません。不条理とはむつかしい言葉ですが…

 他罰的態度から自罰的態度へ 

ある学者は次のような例を報告した上で,「因縁話」の持つ役割を明らかにしています。六歳にもなった子どもが手づかみでものを食べたり,茶碗に口をもっていったり,横になったまま食事をするので,その悪癖を直そうとあちこち訪ねた末に,ある「教祖」に出…

 佐藤春夫の「風流論」

佐藤によると,自然の悠久に比べたとき,自己のあまりのはかなさに愕然とした人間が,その悲劇を自然との一体感によって越えようと努力するところに生まれる境涯が,「風流」にほかなりません。「風流は,ときに,「もののあはれ」とか「無常感」とも呼ばれ…

 リンチ思想

日本人の中には,リンチの思想も欠如しています。私の知り合いのアメリカ人が新宿の交差点で,自動車が横断歩道の真ん中で止まったのを見て蹴飛ばした。私は,乗っているのがやくざだったら危ないからやめろといったのに,彼はこの自動車が悪い,自分はここ…

 模倣

あるいは,もっと昔に記憶をたぐってみようか。発音の仕方,表情の作り方,排泄の仕方,手の動かし型,歩き方,さらには他人のいじめ方まで含めて,僕たちはすべてを模倣から始めたはずだ。たとえば乳児を前にした母親の態度。『まなざしの誕生』のなかで下…

 忘れるということ

けれども,忘れなければできないこと,忘れることによってはじめて可能となること,というのが存外あるのではないか。 たとえばあの大きな「忘れ物」,身体。生まれてしばらくしてから練習を重ね,一年ほどたってやっと覚えた歩行。歩くのを覚えるというのは…

 「なる」の論理と「する」の論理 

「日本語は空間の論理が多く,主体の論理が少ない。これに対して,英語は主体の論理が多く,空間の論理が少ない」ということになろう。言い換えれば「日本人は空間の論理を多用し,主体の論理はあまり使わない。これに対して,英米人は主体の論理を多用し,…

 日本語の英語化と安定化

日本語の基本である空間の論理に対して,明治以降は,英語の主体の論理が,学校の教育や翻訳文を通して,日本人の脳や身体にしみこんできたであろう。だから「主語」に対しても違和感がないのであろう。 言語や文法は,数百年単位で変化してゆくものである。…

 文法を意味重視で教える

それでは,どのような文法教育が望ましいのだろうか。それは,何段活用かという用語を覚えさせるような,知識中心の教育ではないだろう。子どもが長年の会話で身に付けた無自覚の文法を自覚させることである。先ほどの「は」と「が」の使い分け例文を見たと…

 「は」はお容器の比喩

日本語の論理を議論する際に,「は」という助詞が中心的な役割を果たしている。それでは,「は」はどのような論理を示しているのだろうか。山梨正明は『認知言語学原理』で次の例を紹介している。 春はあけぼの(In spring it is・・・・) この訳では,「は…

終身雇用と年功序列 

日本には終身雇用と同時に,年功序列という制度があった。もともとはキャリアのない若い労働者を低賃金で雇用する制度なのだが,毎年少しずつだが必ず賃金が上がっていくということで,将来に希望のもてるシステムだった。将来が保障され安心して仕事に取り…

 学力低下に貢献する主語

以下の分の主語と述語をあてさせる問題だ。 ・わたしは,先生に教えてもらった本を買った。 「文には主語と述語がある」というのが現行の橋本学校文法で,たとえば「何がどうする」が「主語+述語」なのだから,出題者の期待する「正解」はきっと,主語が「わ…

 オウム真理教事件

こうしてオウムの事件が起きた後,この国の人たちは,もっとも大きな集団の単位である国家に,自分の身を守ってほしいという意識を,とても強く持つようになった。 ならば国家にちゃんと武装させたい。軍備を持つことを禁じる憲法を変えなければ行けないと多…

 フランス死刑廃止運動

ミッテランが大統領に就任してから四ヶ月後に,死刑廃止法案は議会で可決された。法案が通ったとき,バダンテール(弁護士)は国会で,次のようにスピーチした。 「結局,死刑廃止とは一つの根源的な選択であり,人間と司法についてのある一つの構想なのです…

 被害者感情

刑事事件の被害者や遺族に対して,それまでのこの国の行政やメディアが,あまりに無関心で冷淡であったことは確かだ。だから改善されねばならない。それは当たり前。でも被害者や遺族を救済することと,加害者にもっと思い罰を与えようとすることは,本来な…

 キリスト教徒仏教の共通の根拠

仏教徒キリスト教徒のあいだにも,共通の宗教としての根拠ともいうべきものが,見えてくるであろう。それは,「本来の自己」の自覚と実現である。我々はそれを『福音書』におけるイエスの「自然(アウトマテー)」の語と,「自然法爾章」における親鸞の「自…

 無我の我

ここで良寛の漢詩を一つ引く。 花無心招蝶 蝶無心尋花 花開時蝶来 蝶来時花開 吾亦不知人 人亦不知吾 不知従帝則 花は無心で蝶を招き,蝶は無心で花を尋ねる。花が開く時に蝶が来るし,蝶が来る時に花が開く。私は他者を知らぬし,他者も私を知らぬ。互いに…

「臨済録」一無為の真人 

上堂して云く,「赤肉団上(しゃにくだんじょう)に一無為の真人あり,常に汝等諸人の面門より出入す。未だ証拠せざる者は,看よ看よ。

ダンマはどこで露わになるか

最近,仏教を説く場合に,初期経典に見える,「法(ダンマ)が露わになる」という表現が,よく用いられる。私もまったく賛成で,よく使う。そのばあい「法(ダンマ)」(サンスクリットは「ダルマ」,「ダンマ」はパーリ語)の語で何が意味されるか。これま…

「梵我一如」と「般若直観」

「仏法には<無我>にて候」という蓮如の言葉こそ,わたしたち仏教徒の基本信条である。仏教の基本思想は「無我」すなわち「アン・アートマン(ニル・アートマン)」である。これに対して,ヒンドゥイズムの正統的な哲学の中心思想は「我」(自我)すなわち…

輪廻転生

かつて,「一期の生死」と「刹那の生死」ということを提唱した。ここでもまたそのことを述べる。「一期の生死」というのは,今それを否定した,前世から現世へ,現世から来世へという,誕生から死亡までの一期(一生)を単位とした輪廻転生のことをいう。そ…