無上の喜び

モジャイスクの町の中も外もいたるところに部隊が休止したり,移動したりしていた。コサック,歩兵,騎兵,輜重車,弾薬車,大砲などがいたるところに見られた。ピエールは早く前方へ進もうと急いだ,そしてモスクワから遠ざかり,この軍団の海の中へ深く入…

銃所持によって成り立つアメリカ社会

アメリカ社会の銃所持は,国家に対する独立の証である。銃を市民が所持することによるデメリットばかり日本では喧伝されるが,なぜアメリカ人が銃を手放さないか,あるとき私はある本ではじめて知って納得した。市民が自らの独立を矜恃し,国家に隷属しない…

インタビュー記事から 佐藤優

死刑制度の本質は,国家によく暴力独占という問題に行き当たります。左派市民派の人にはなかなか理解してもらえないのですが,国家という言葉の中にはこうした暴力性が内包されているんです。 国家の暴力の発現は時代によってかわってきます。それはフーコー…

生きるということ

今日生きるということは,昨日までは知らなかった新しい何かを体験すること,のはずである。

臓器移植

車庫の梁にできたツバメの巣からヒナが1羽落ちていた。どうしようか迷いもあったが,脚立をもってきて巣にもどしてやった。巣の中にはヒナが数羽,満席,過密状態,とりあえずちょこんの乗せてやっただけである。兄弟たちが蹴り落としたんだろうか,生存す…

 においは常に「差別」と結びついています

「くさい」というのは,部落差別や在日朝鮮人差別の際にもよく使われた言葉です。また,インド人が宗教的戒律とは関係がないのに豚肉を食べないのは,豚を飼っている最下級のカーストである「スードラ」の人たちが「くさい」と考えられているからです。「く…

世間の常識

死刑について 臓器移植および脳死問題 少女買春 禁煙運動とタバコの害について 地球温暖化と環境問題 これらのことについては,たぶん私は「世間の常識」とは相容れないようです。

 子どもたちを引きこもらせる教育システムという名の悪魔

じゃあ,甘やかしている親が悪いのかというと,それだけではない。もちろん,親の価値観や子どもに対する接し方,夫婦関係などは当然影響してくるでしょう。子ども自身の資質の問題もある。しかしいちばん大きな要因は,教育システムそのものにあるのだと思…

 刑務所化する社会が生むストレス

さて,懸案事項にしておいたキレやすい子が増えている原因ですが,それについては食生活が関係しているとか,テレビゲームが脳に悪影響を与えているとか,環境ホルモンのせいもあるんじゃないかとか,いろんな方がさまざまなことをおっしゃっている。食べ物…

 麻薬と自由の関係

トロントの街を歩いた。マスクをしている者は全く見かけなかったが,店の外でいささか「卑屈」にタバコを吸っている人たちの姿は東京と同じだった。 たったの二十年間に喫煙ほど低落してしまった文化はない。タバコは優越や沈思や媚態の文化の主要な位置から…

新型インフルエンザ

愛知県で3名の発症者が出た。私の学校でも注意勧告があった。「手洗い・うがいを以前にも増して念入りにやるように」と。しかし,私はその方向性は違うんではないかと思っている。「私の学校」での話ではなく,また「日本」でのということでもない,大袈裟…

 ナターシャ

医師たちは往診し,別々に,あるいは立ち会いで診察をおこない,フランス語や,ドイツ語や,ラテン語でうるさく弁じ立て,互いに避難し合い,自分たちの知るかぎりの病気の実にさまざまな薬の処方を書いた。しかし彼らの一人の頭にも,生きた人間を悩ますひ…

 勇敢な司令官

おれが知った優れた将軍たちは,ーー愚直な人間でなければ,散漫な人間だった。あの名将バグラチオンにしても,ーーナポレオンでさえ彼を名将と認めたではないか。それに当のナポレオン! おれはアウステルリッツの野で見たあの思い上がった愚かな顔を覚えて…

 第八の党派

この華麗で驕慢な,騒然とした巨大な世界の中に渦巻くあらゆる考えや声の中に,アンドレイ公爵は,かなりはっきりと,傾向と党派を次のように区分けできることを知った。 第一の党派は,ブフールとその追随者の戦争理論家たちで,軍学があり,・・・・・・。 第二…

 八識 末那識 阿頼耶識

そういう心というものを,唯識仏教はどう考えているのだろうか。端的にいって単一でなく八識,しかも,それらが重層構造になっているのだという。 八識とは,眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識・末那識・阿頼耶識だ。 このなか,眼識などの前五識は,視覚…

 宿命論

歴史における宿命論は,不合理な現象(つまり,その合理性がわれわれには理解できぬ現象)の説明には不可避である。われわれが歴史におけるその現象を合理的に説明しようとつとめればつとめるほど,それはますます不合理で不可解なものとなるばかりである。 …

北朝鮮が核実験

「『常識はずれなことを,またやった』など怒りの声が上がった。」と中日新聞の夕刊。まあ,どの新聞もこの論調なんでしょうね。でも,この『常識』というのは,単にわれわれの常識にすぎない。あちらの『常識』に照らし合わせたら,日本やアメリカのやって…

 樫の木

道外れに一本の樫の木が立っていた。おそらく,林をなしていた白樺より十倍は年を重ねていることであろう。その樫の木はどの白樺よりも十倍もふとく,二倍は高かった。これは幹のまわり二かかえもある樫の巨木で,いつの昔かに折れたらしい古枝をところどこ…

新型インフルエンザ

ゴジラが街で暴れ出したとき,ピストルを買いにコンビニに走りますか? わたしには今回のマスクへの狂奔がそんなふうに映ります。新型だろうが,旧型だろうが感染するときはする,しないときにはしない。人間の力なんて,そんなものじゃないの。マスクなんか…

「戦争と平和」第二巻 トルストイ

思い上がったときなど,自分の状態を考えると,自分はかつて軽蔑したあんな元侍従どもとは全く違う特殊な人間だ,という気がして,あんな連中は平凡な愚劣な人間たちで,自分の状態に満足し,安んじているが,『おれは今でも常に不満で,たえず人類のために…

新型インフルエンザ

新型インフルエンザがどういうウィルスかわたしにはわかりません。これからどう成長し,どんなひろがりを見せるかわたしにはわかりません。でも,わたしは必要以上に"予防"はしません。相手の脅威がわからないうちから,ばたばたと騒がないようにしたいと思…

 ゲーテ『ファウスト』について

大一部はともかく,第二部はやはりわからなかった。思うに,翻訳だからわからないとか,キリスト教だからわからないとか,老人でないからわからないとかいう以前に,結局ファウストは,グレートヒェンとかいう娘に恋をして,メフィストフェレスによって魂を…

同窓会

あなたがおっしゃるとおりです。同窓会というものは,40年も経てしまうと単なる懐かしさだけで集まれるほど単純なものではなくなってしまっています。「同窓会で40年ぶりにあって,何を話すことがあるんですか?」そうですね。わたしもたいへん困っています…

危険運転致死罪

批判を覚悟で書きます。 福岡県での3幼児死亡事故の判決である。 わたしは一審「業務上過失致死傷罪」の適用が妥当だと思います。今回の判決は,「感情的な判決」だと思うし,「世論におもねった判決」だとも思います。確かに3人の幼児がいのちを奪われたこと…

新型インフルエンザ

こんな小賢しいことでほんとうに"人間"が守れるんでしょうか。「うがい」と『手洗い』と『マスク』。 以下は中日新聞5月9日付の夕刊に載った専門家(名古屋大学教授)のコメント。 「感染防止には,うがい,手洗い,マスクが大切。うがいはコップ半分ぐら…

 フリーメーソン

『そうだ,この林だった,おれとすっかり意見のあったあの樫の老木があったのは』とアンドレイ公爵はふと思った。『はてな,どこだったろう?』と道の左側を見回しながら,アンドレイ公爵はまた考えた,そして自分でも知らずに,それに気づかずに,探してい…

 アンドレイ公爵とピエール

駅長はいいかげんなことを言って,旅行者から少しでも余計に金を巻き上げようとしているだけであることは,見えすいていた。『それは悪いことだろうか,それともいいことだろうか?』とピエールは自分に問いかけてみた。「おれにはかまわんが,他の旅行者に…

 権力のむなしさ

しかしアンドレイ公爵は,これがどんな結末に終わったか見ることができなかった。彼は近くの兵士のだれかにかたい棍棒でいきなり頭をなぐられたような気がした。痛いこともいくらか痛かったが,それよりも,この痛さに注意をそらされて,見ていたものを見る…

 「記憶というのは思い出さなければ存在しないのだ。」中川宋淵老師

「世の中はここよりほかはなかりけり,よをはゆかれず,わきにゃおられず。世の中は,今よりほかはなかりけり,昨日は過ぎつ,明日は来らず。」山本玄峰老師 私たちは過去に間違ったことをしたり,嫌なことを体験します。それを思い出さないようにしたいので…

 応に住する所無くしてしかも其の心を生ずべし

タクシーの運転手に聞くと,運転をしているときがいちばん気が楽だと言います。それは全く考えるなというのではないのです。赤信号が見えれば,すぐにブレーキを踏む,横から車が来ればすぐにハンドルを回すというように,感覚はいつも緊張しているのです。…