中国の運動会

 六歳の息子を北京の日本人向け幼稚園に,四歳の娘は地元の幼稚園に通わせている。最近,それぞれの運動会に参加した。
 まず日系幼稚園。先生が「皆さーん,整列!」と言うと,園児はまっすぐ列をつくり,順番にかけっこをする。全員でのダンスは練習どおりに熱心に演じる。親は保護者席に座り,笑顔で見守る。
 一方の地元の幼稚園。最初の準備体操で,朝食の肉まんを食べている園児がいる。玉入れやかけっこは早い者順。親は子どもの真横で「加油(がんばれ)!」と応援する。わたしの娘をはじめ,外国人の園児が順番を待っていると,先生が「時間でーす,終了!」。運営はおおざっぱで,自ら動かないと参加すらできない。まるで中国社会の縮図だ。
 規律と集団重視の日本人,何ごとも個人主義の中国人という,異なる文化のルーツを確認した思い。ただ,親も子も自由に動き回れる地元の運動会は窮屈さがなく,結構,楽しかった。

(2009年4月28日付 中日新聞 「世界の街 海外リポート」より)